2022年も残すところあと2か月ですね。
年末に向けて、繁忙期でお疲れの方も多いのではないでしょうか。
弊社ではストレスチェックのサービスを行っておりますが、健康への意識の高まりに伴い、集団分析の活用方法についてもご相談をお寄せいただくことが増えています。
今回はストレスチェックの活用方法についてお伝えします。
ストレスチェックとは
メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)として、ストレスチェック制度があります。
ストレスチェックとは、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査のことです。
2015年12月の労働安全衛生法改正により、常時使用する労働者数が50人以上の事業場において、1年以内ごとに1回ストレスチェックを実施することが義務づけられています。
ストレスチェックの目的
①労働者自身へのストレスへの気付きを促すこと
②労働者のメンタルヘルス不調の未然防止
③職場環境の改善につなげること
ストレスチェックの集団分析について
ストレスチェックの結果を集団分析し、これを活用して職場環境改善を行うことは、努力義務となっています。
しかし、上記の目的の3つ目「職場環境の改善につなげること」に関して、集団分析を行うことが推奨されており、分析結果を通じて職場環境の課題・問題点を把握し、職場環境への取り組みを進めていくことが望まれます。
職場環境改善のメリット
・仕事のストレス要因や健康状態が改善する
・労働者の心理的ストレスを軽減する
・生産性が向上する
職場環境改善例(集団分析結果の活用)
【仕事の量的負担が大きい場合】
・個人当たりの作業量の見直し
・勤務時間制、交代制の改善
・休日・休暇取得の促進
・人員配置の見直し
【仕事のコントロールに問題がある場合】
・少人数単位の裁量範囲を増やす
・作業の指示や表示内容をわかりやすいように改善
・各自の分担作業を達成感のあるものにする
【上司の支援に問題がある場合】
・上司に相談しやすい環境を整備
・仕事に対する適切な評価を受け取ることができるようにする
【同僚の支援に問題がある場合】
・同僚に相談しやすい環境を整備
・チームワークづくりを進める
職場環境改善のポイント
①問題解決型で検討
→問題の指摘にとどまらず、必ず「どうするとより良くなるか」を考えましょう
②様々な角度から検討
→特定の立場からだけではなく、様々な角度から検討をしましょう
③良好事例・ツールの活用
→事業場内外の情報源から、これまでに上手くいった具体的な良好事例を収集し、ヒントとして使いましょう
④現場の状況に合わせた提案(時期や人など)
→職場環境改善に取り組みやすい時期を捉える等、無理なく取り組めるタイミングで、無理なく実施できる提案をしましょう
⑤労働者の意見の反映
→職場環境改善のための対策を考えるにあたっては、その職場で実際に働く労働者自身の意見も取り入れるようにしましょう
職場環境改善において、近年『従業員参加型』が注目されています。専門家や管理監督者など一部の人の考えだけでなく、職場で働く労働者全員が参加して話し合いの場をもち、職場全体の意見を反映させていく方法です。その結果、「自分たちの手で職場環境を改善できた!」という、達成感や自信、職場に対する当事者意識や職場への愛着が高まります。
自分たちが日頃感じている仕事上のちょっとした不便を解決し働きやすくするためのアイデアを皆で一緒に考えることがポイントです。皆で楽しく取り組みを進めながら、働きやすい職場を目指していきましょう。
弊社では、産業医・保健師・公認心理師・健康経営アドバイザーが在籍しており、様々な視点から対応策をご提案しておりますので、ぜひご相談ください。
参考・引用サイト
厚生労働省,これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引~
https://www.mhlw.go.jp/content/000680306.pdf
厚生労働省こころの耳,ストレスチェック制度について
https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou/
厚生労働省こころの耳,職場環境改善ツール
https://kokoro.mhlw.go.jp/manual/
参考文献
岡庭豊他,職場の健康がみえる 産業保健の基礎と健康経営第1版,2019,pp.226-227,pp.237-243
東京商工会議所,健康経営アドバイザー・エキスパートアドバイザー共通テキスト2021-2022,2021,pp.177,pp.181